2のつく日はツインテールをする。
私の好きだったアイドルはツインテールをしなかった。
いつも彼女の隣に必ずいたあの子は、必ずツインテールをしていたが、いつの間にか大人しい髪型しかしなくなった。
2のつく日でもツインテールをしない時もある。自分に自信のない日だ。両手で髪の毛を二つに纏めて持って鏡を見ても、荒れた草地に一際飛び出る、伸びすぎた雑草のようにしか見えない。
ツインテールをするのは2のつく日だが、それは自分に自信のある日でもある。
結び目を気持ち高めにして鏡を見ると、ツインテールがまるでひとりでに(ふたりでに?)動き出さんばかりに生き生きとしてみえる。
家に帰り、鏡を見て少しボサボサになったツインテールを撫で付けるようにおさめる。
ヘアゴムを引っ張りながらツインテールをほどくと、髪の毛が数本抜け落ちて、それからすぐに頭皮がじわじわと痛くなってくる。
重力に逆らって無理矢理結んだ髪の毛が、下へ下へと落ちていくのを頭皮全体で感じ、痛む頭皮を指先で抑えていると、なぜだか極度に虚しさを覚える。しっぽをしゅんと垂らした犬の気持ちを想像して、ズキズキと痛む頭皮のためにもうツインテールはやめようと決める。恥ずかしさなどではなく。