集積所

てきとうに文章を書いたりします

卒業旅行記②

友人がベルリンに住んでいるので、ひとまず旅のゴールをベルリンにした。そうなるとイタリアあたりから北上するのがよいだろうと考え、イタリアをスタート地点としフランス、スイス、オーストリアチェコポーランド、ドイツの順で旅行する計画を立てた。このコースだとやはり一ヶ月くらいは滞在したい。予算を確認した。バックパッカーが使うようなホステルやドミトリーを使って外食を控えれば不可能ではない。そんな緩い計画を実家の両親に話した。まず最初に、お金は出すからとちゃんとしたホテルに泊まるように嗜められた。それから、そもそもどこに行きたいのか、何をしたいのか、あてもなく漠然と旅するのも楽しいとは思うが、初めての海外旅行なのだからどうしても行きたい場所を数ヶ所定め、余裕を持ったスケジュールを立てるように、とド正論を言われ、その通りかもしれないと冷静になった。ずっと、大学院の修了が決まった最高のテンションの状態で旅行の計画を立てていた。

正直なところ、安宿を利用して各地を転々としている男友達らを見て、羨ましい、ずるい、私も男に生まれていたら、と思う。私だってそういう旅をしたい。そんなことを考えだしたら本当にキリがないけれど。でも、海外に行くことができるということそれ自体、恵まれていることだ。

そして、純粋にどこに行きたいのかを考え直し、やはり山に行くことにした。

 

母は、はじめての海外旅行で、しかも一人で、それでもって登山をするのかと、あまり良い顔をしなかったが、山に行きたい(山を近くで見たい)という気持ちに変わりはなかった。それに、頂上を目指さなくても、ただ山の周りをただぐるぐると歩くだけで絶対に楽しいと自信を持って言える(それを登山と呼称していいのかわからないが)。クライミングジムでアルバイトをしていた頃、同僚らとはじめて山へクライミングをしに行った。アプローチに一時間、二時間かかるような壁を目標に登山道ではない道を歩いた。クライミング自体ももちろん楽しかったけれど、それよりも壁までのアプローチの時間が一番面白く感じた。

 

瑞牆山

山梨県北杜市にある山。日本百名山の一つで、黒雲母の花崗岩で出来ている。標高2230m。

 

さて、ヨーロッパにはアルプスという激ヤバ山脈があることはもちろん存じているが(ひどい日本語だな)、季節はまもなく冬を迎えようとしている。どこに私などが近寄れる山があるだろうか。(アジア、ヒマラヤ山脈がこの話に出てこないのは、単に登山どころかその麓まで行くこと自体ハードルが高いからである)

アイガー、モンブランマッターホルン、グランドジョラス・・・(ミーハーすぎ?)頭の中で名前が出てくる山の中で、現実的に一番近くまで行けそうな山にしてみようと調べたが、どうやらヨーロッパアルプスにはたくさんのロープウェイや登山鉄道が整備されており、どこでも比較的簡単にハイキングや登山を楽しめることを、その時初めて知った。